No City No Life

マンチェスターシティを中心に自由に投稿していきます

【プレミアリーグ】鬼門アンフィールド攻略の全て

f:id:osamu_h:20210208235315j:plain

プレミアリーグ第23節 vsリバプール

マンチェスターシティ 4-1 リバプール
得点者:ギュンドアン(49分、73分)、スターリング(76分)、フォーデン(83分)/サラー(63分)

期待を裏切らない質の高いゲーム。前半37分スターリングがPK獲得もギュンドアンがアメフトと勘違いしボールはゴールの上へ。スコアレスで迎えた後半立ち上がり、スターリングがサイドからの仕掛けでフォーデンにラストパス。シュートはアリソンに弾かれるもこぼれ球をギュンドアンが押し込みシティ先制。しかし63分、ルベンが浮き玉の処理を誤り、サラーにチャンス。ルベンの手が触れると見事なダイブでPK獲得。これをサラーが決め試合は振り出しに。シティはジェズスを投入し得点を奪いに行く。すると直後に「足が冷えていた」というアリソンが痛恨のキックミスでフォーデンにチャンスボールをギフト。2人を交わし中へのクロス。最後はまたしてもギュンドアンが合わせ勝ち越しに成功。その3分後にもアリソンが今度はベルナルドにギフト。中でフリーになっていたスターリングが頭で合わせ3点目。仕上げはフォーデンのスーパーゴール。シティが鬼門のアンフィールドで4点を奪い完勝した。一方リバプールはホーム3連敗。

Line Up

まず、両チームのスタメンからおさらいしよう。お互いに基本のシステムは4-3-3。リバプールはCBの相次ぐ怪我によりこの試合は中盤本職のファビーニョヘンダーソンがCBに。中盤はワイナルドゥムの両脇にチアゴとジョーンズ、前線はおなじみの3枚というメンバーで臨む。一方シティは、センターライン5枚はいつも通りで、SBにはカンセロとジンチェンコを選択。そして前線はトップにジェズスではなくフォーデンを置き、右マフレズ左スターリングの並びでゲームに入った。

f:id:osamu_h:20210208213112p:plain

両者のハイレベルなビルドアップ

近年においてのプレミア頂上決戦と言っていい2チームの対戦というだけあってやはり試合の質が非常に高い。中でも、前線からのプレスをどのように掻い潜っていくのかというビルドアップの局面は見応え抜群だった。シティのボール保持時、リバプールはフィルミーノがアンカーのコースを背中で消した上で両WGがCBへプレスをかけるいつものやり方で圧力をかける。対するシティは両SBの非対称な位置どりでそのプレスを回避しようと試みる。右SBのカンセロはロドリの横にポジションをとり、フィルミーノとマネのギャップに顔を出すことでCBからのパスコースを確保する。マネがカンセロを意識し絞り気味になると今度はベルナルドがカンセロの本来のポジションに移動しサイドでフリーな状況を作る。ベルナルドのマーカーであるジョーンズはついて行きすぎると中央のスペースを開けることになるので大胆に出ることはできない。右サイドでは、このポジションチェンジによりリバプールのファーストラインを突破していく。左サイドではジンチェンコの立ち位置が興味深かった。これまでのシティであれば一方のSBが中央でプレーするときはもう一方のSBはCBの横でサポートし3バックを形成していた。だが、リバプールは前線3枚でプレスをかけてくること、またサラーが外切りでCBにプレスをかけてくるやり方を意識してジンチェンコはあえてサイドに開いたままプレーすることが多かった。ルベンから距離を取ったサイドにポジションを取ることでサラーに「SBとCBを見る」という2つの仕事をさせない狙いも見て取れた。

f:id:osamu_h:20210208221054p:plain

今度は、リバプールのボール保持時を見て行こう。リバプールはシティのようにポジションチェンジは行わず、SBが幅を取り、中盤3枚がビルドアップに関わる形だ。それに対しシティは、フォーデンがワイナルドゥムを監視しながらCBへプレス、フォーデンが行けない局面ではスターリングとマフレズがSBのパスコースを消しながらCBへプレスをかけ中央に誘い込み、中盤で奪い切るというリバプールのやり方に近い形で守備をスタートさせた。何度かCBからの縦パスを引っ掛けて奪うシーンもあったが、基本的にはアリソンのフィードや、中盤を経由されてフリーなSBを使われるシーンが目立った。マフレズが置き去りにされた状態でロバートソンにフリーでボールが渡るとすぐさまベルナルドがスペースをカバーし、相手に気持ちよく前進させなかったことはこの試合の重要なポイントだった。

f:id:osamu_h:20210208221538p:plain

ペップの脳内解析

前半を終えスコアレス、HTでペップが何を思ったのか。これは後半立ち上がりからのプレーにすぐさま表れた。前半見ていて感じた人も多いかもしれないが、シティの前線からの守備はあまりうまく行っていなかった。先ほども述べたように、両WGのCBへのプレッシャーは、中盤を経由することで比較的容易に回避されていた。リバプールのSBにスペースを与え続けることがシティにとって良くないことは誰もがわかっている。そこでペップは修正を加える。CBへのプレスをフォーデンとベルナルドの2人に任せ、両WGはSBをマークする。さらにCBへのプレス時にはワイナルドゥムを消しながら寄せることで、ギュンドアンとロドリも自分のマークが明確になる。これにより、SB含めた中盤のラインで数的同数を作り出すことができ、相手のビルドアップにストレスを与えた。メンバーを変えずにプレスのかけ方や個々のタスクを変えることで先手を取りに行ったペップの判断が結果的に後半主導権を握る重要なカギとなった。ある程度このような展開を予想していたのか、試合中に微調整したのかはわからないが、この戦術変更によって試合を有利に進められたことは間違いない。ペップ流石の一言。

f:id:osamu_h:20210208223021p:plain

連動性とハードワーク

この日も守備陣の安定は健在だった。ルベンは失点に繋がるミスを犯したものの、それ以外の局面ではホンモノであることを十分に証明した。危険なところは前に出て潰し、背後へのボールに対しても適切な準備をして凌ぎ続けた。ストーンズも攻守においてミスらしいミスはなくとにかく安定していた。だが、最近のシティの安定した守備において最も大きな要因は、チーム全員の連動性とハードワークだ。特に相手にボールを持たれる状況であってもほとんど崩れないのが今季のシティの強さだ。ボールを奪いにいくという姿勢は常にありながらも、奪えない状況で決して焦らず3ラインをコンパクトにして守る。誰かがアクションを起こせばそれに全員が連動性、連続性を持って適切な判断をとる。ボールを奪いに行くフェーズ、そうでないフェーズどちらでも非常にソリッドなチームになっている。また、シティの弱点と言われたカウンターも今季は与えさえしない。ボールを奪われた後の切り替えが鋭く、ボールをスペースへ逃がさない。仮にかけた網を抜けられたとしても帰陣がこれまたとんでもなく早く、相手が攻めようとした時には既にブロックが形成できてしまっている。リバプール相手にもカウンターアタックをさせないだけの連動性とハードワークを兼ね備えた今の堅いシティを崩せるチームがいるだろうか。

PHIL FODEN

宝の中の宝。こんな表現でも全く言い過ぎではない。世界トップレベルのこの一戦の中でも一際輝ける20歳はおそらく彼くらいだろう。体格や身体能力には決して恵まれているとは言えない小柄な彼は、フィジカルコンタクトの多いプレミアリーグでも力負けせず、ボールを持てば2人3人といとも簡単に抜き去ってしまう。おまけにシュート精度、威力ともに素晴らしい。今日の1ゴール1アシストは共にその才能が遺憾なく発揮された。特にゴールシーンは誰もが驚くようなスーパーなプレーだった。フィル・フォーデンは間違いなく未来のトッププレーヤーだ。

f:id:osamu_h:20210208233257j:plain

深刻なPKキッカー問題

そんなシティにも深刻な問題が存在する。それが「PKが決まらない」問題だ。昨季からアグエロ、ジェズス、ギュンドアン、デブライネ、スターリングと多くの選手が努めて来たが、誰が蹴っても外す。CLやビッグマッチなど、重要な試合でPKを獲得することが多いシティにとってこれはかなりの致命傷だ。今季はプレミアワーストタイの3本を外し、リバプール戦に限って言えば直近4本中3本も外すというなんとも悲惨な数字だ。バロテッリやヤヤといったPK職人が恋しくなるような状況。そんな中ペップは試合後「エデルソンに蹴らせることをもう一度考える」と発言しており、これがジョークかどうかはわからないが、次節以降エデルソンが蹴りに来る姿を見れる可能性は低くないのかもしれない。この深刻な問題を解決するのはGKなのだろうか。

アンフィールドで見事な戦いぶりを見せたシティ。これが18年ぶりの勝利ということで、もちろん私がシティを見始めて以降初勝利だ。こんなに冷静に試合の振り返りをしているが実際は泣けるほど嬉しい。リバプール相手にどこまでやれるか注目だったが終わってみれば4ゴールを奪い完勝。これでリーグ戦10連勝。強い、強い、強い。次節はまたも難敵スパーズ。前期に完敗した憎い相手だ。だが今のシティなら自信を持って戦える。このまま優勝まで突っ走れ。

 

CmonCity

f:id:osamu_h:20210208233320j:plain