No City No Life

マンチェスターシティを中心に自由に投稿していきます

【マンチェスターシティ】さらばフェラン、幸運を祈る

こんにちは、オサムです。

約10ヶ月ぶりの投稿です。

 

フェラン・トーレスバルセロナ移籍へ

昨シーズンバレンシアから加入したスペインの新星フェラン・トーレスが、今冬シティを去ることが決まったようだ。行き先は、母国のメガクラブFCバルセロナ。移籍金は€55M +€10Mのインセンティブ。最大€65M(日本円で約84億)とかなりのビッグディールになりそうだ。今財政難のバルセロナにそんな金額払えるのかと疑問に思うこともあったが、やはり今回の契約はキャッシュ一括ではなく、来夏から計4回の分割払いとなる。シティでは、余剰戦力とまでは言わないが、現状欠かせない存在とはなっておらず(まだ21歳のため当然だが)適正な金額でオファーがあれば交渉に応じる構えだった。昨夏バルセロナのオファーの半額程度で獲得をしたシティにとっては、ビジネスとしてはプラスの取引になるだろう。一方バルセロナにとっては、シャビ監督のもと新たなチームのアタッカーとしてフェランの獲得を切望。ラ・ロハでも最近ではチームの点取り屋として活躍しており今後のバルセロナ復活に向けては期待大だ。

 

“シティの21番”としては残念な決断

基本的には、移籍する選手にはこれまでシティのために戦ってくれたことに感謝し、次のステップでも活躍を期待している。が、フェランはシティのレジェンドである同胞のダビド・シルバの21番を受け継いだ選手であり、そういった意味では今回の移籍は残念な気持ちがある。

 

世界におけるマンチェスター・シティの立ち位置

近年、若手の放出が増えてきたと感じている。当然クラブにとっては、痛手になることもあるが一方でそれだけマンチェスター・シティというクラブのレベルが上がってきたとも言えるだろう。サンチョやサネ、ブラヒム、フェランは出場機会を求めて出て行った。しかも出て行ったクラブが、ドルトムントバイエルン、マドリー、バルセロナだ。「シティから出場機会を求めてバルセロナへ」なんて、10年前では考えられなかったパワーワードだが、今ではそれが事実として起きている。シティの控え選手であっても他クラブでは主力で出られるほど今のシティは世界トップレベルのクラブに成長していると言える。

 

色々書きましたが、言いたいことは一つ

「Best of luck, Ferran]

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【マンチェスターシティ】選手名鑑2020-21(番外編)

さて、ここまで選手について紹介してきましたが、マンチェスターシティを知る上で欠かせない人物は他にもいます。今回は、あまり表には出ない経営陣含め、選手以外の紹介をしていきます!

 

Sheikh Mansour

現シティのオーナー。シティの前会長で、タイの元首相のタクシン・チナワット氏が祖国での失脚、財産凍結を受けクラブを売りに出さざるを得ない状況の中、彼がアブダビ・ユナイテッド・グループのオーナーとして2008年シティを買収。ここからシティの世界戦略が始まった。シェイク・マンスールUAE最大の首長国であるアブダビの王族「ナヒヤーン家」の一員であり、父は元UAE大統領というまあとんでもない人物。オーナーの振る舞いに頭を悩ませるライバルクラブと比べると彼は、シティ愛もありあまり現場に口出しをしてこないとても良いオーナーだ(と思う)。「ご飯に行って金だけ置いてってくれる先輩」の究極の姿。今シティはこのオーナーの元、一フットボールクラブの域を超えた成長の真っ最中。

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Khaldoon Al Mubarak

会長。見た目からボス感が漂いまくるボス。フロント陣の中では比較的インタビュー動画やスタジアムで姿を見る。超優秀な経営者であり、ビジネス的な側面だけでなく、フットボールの世界のこともよく理解しシティを支えてくれている。CL2年間の締め出し処分に対し真っ向勝負でUEFAを倒した。
“I would rather spend £30milion on the 50 best lawyers in the world to sue UEFA for the next 10 years” 彼の有名な言葉だ。
このボスに一生ついていきたい。

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Ferran Soriano

財政難に陥っていたバルセロナを救ったバルサ元副会長、そして現シティCEO。チキとペップとはバルサ時代からの関係で、ペップがシティに来たのも彼の存在があってこそだ。彼には明確にやりたいことがあり、それはバルセロナでは受け入れられなかった。2012年にシティに来てからは、豊富な資金力を後ろ盾に、世界のクラブをCFG(シティ・フットボール・グループ)の傘下に入れるなど、かなり自由にやっちゃえている印象。ソリアーノ-チキ-ペップの3人の存在無くして今のシティはない。ある意味選手以上に重要な人物。

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Txiki Begiristain

チキ。彼もまた、バルセロナで7年間SD(スポーツディレクター)を勤めたあと、2012年からシティのSDに就任。補強などを担当していると言われており、主に移籍市場の期間によく名前が挙がる。監督が望む選手が取れないといったようにフロントと現場の運営がうまくいっていないクラブもある中、シティはチキとペップそしてソリアーノという、お互いを知り尽くした仲の3人がいるからこそそういった心配は一切ない。どのクラブからも高値をふっかけられる「金持ちクラブ」での役割は非常に重要だ。交渉のテーブルにおける手腕は詳しくは知らないが、まあしっかりと将来性豊かな選手を獲得できているのは事実だ。現役時代、浦和レッズでのプレー経験があるというのは豆知識。

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Josep Guardiola

現代フットボールにおける世界最高の監督。異論は認めない。バルセロナバイエルンのような真のビッグクラブではないマンチェスターシティでどこまでできるか楽しみだった初シーズンでは、全く結果が出ず「やはりプレミアでは無理か」「シティはバルサバイエルンとは違う」といった声も多かったが、2年目から見事にチームを再建。国内では常に1、2を争うチームにまで引き上げた彼に残されたミッションは悲願のビッグイヤー獲得だ。旧知の仲間と信頼できる上司がいるシティで我々の夢を叶えて欲しい。シティに来てからなぜスーツを着なくなったのか知りたい。

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Brandon Ashton

用具係。ロッカールームでパンツ一丁になってはしゃいで話題になったハリウッドザコシショウ。選手とも非常に仲が良く、彼のインスタグラムを見るとどれだけチーム内で愛されているのかが見て取れる。おそらくめっちゃいいパパ。

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一つ皆さんに知ってほしいことは、現代フットボールでは監督コーチ、その他スタッフは「セット」で動くことが多いということ。現シティのスタッフ陣も、ほとんどがバルセロナバイエルンでペップの下で働いていた、いわゆる「ペップチーム」のメンバーだ。監督からしても、お互いのことを理解しているスタッフと仕事をする方が良いのは当然のことだろう。逆に言えば、監督が解任される時は監督以外のコーチ陣も入れ替わることが多いということ。こういったところにも注目してみると新たな楽しみ方ができるかもしれませんね。

 

いかかでしたか?マンチェスターシティは選手はもちろん、経営陣や監督も非常に優秀なチームです。 皆さんの好きなクラブの体制はどうでしょうか?調べてみたり考えてみたりすると面白いですよ!

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【マンチェスターシティ】選手名鑑2020-21(FW編)

最後はFW編!

 

FW

Raheem Sterling

生年月日:1994年12月8日(26歳)
身長:170cm
国籍:イングランド

ここ数年で飛躍的な成長を遂げた快速ウィンガー。ペジェグリーニ体制では期待通りの活躍を見せられなかったが、ペップとの出会いが彼を世界有数のアタッカーへと成長させた。リバプールで頭角を現した彼は「スピード系ウィンガー」であったが、ペップの指導を受けオフザボールの動きやポジショニングが大幅に改善した。サイドからスピードに乗って仕掛けるだけでなく、ハーフスペースでボールを引き出し味方とのコンビネーションで崩しに関わったり、背後への飛び出しでゴールを奪うなどできることが増え、総合的にレベルの高いアタッカーになった。長年課題と言われ続けている決定力も以前に比べると向上しており、昨季はリーグ戦で初の20ゴールを達成。とは言え、ラストパスやシュート、仕掛けの精度はまだまだ改善の余地あり。期待が大きいだけに「おい!決めろよ!」などと言われることも多い。アンフィールドでは世界一ブーイングを受ける。
2歳の時に父親が銃殺されて以来、「決して銃に触れない」ことを誓い、銃ではなく右足で「shoot(撃つ)」するという意味を込め右足に銃のタトゥーを入れているのは有名な話。

 

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26 Riyad Mahrez

生年月日:1991年2月21日(29歳)
身長:179cm
国籍:アルジェリア

魔法の左足を持つドリブラー。ボールタッチが滑らかで一つ一つのプレーが美しい。中でも、彼のファーストタッチは世界一美しくあれだけでご飯3杯はいける。シティでの初シーズンは、新しい環境での戦術理解や自身のプレーを表現するのに苦労したが、昨季からは本領発揮。チームメイトとの連携が目に見えて良くなり、多くのゴールを演出している。対シティでは多くのチームが9枚のブロックを作り守るため、レスター時代のように大きなスペースを持ってプレーすることはできないが、それでも素早いシザーズと鋭い切り返しを武器に相手DFを翻弄。狭いスペースでの技術も申し分ない。ただ、よくない時のマフレズは本当にダメダメ。ふと書いている時に思ったが、マフレズはプライベートや人柄についてはシティの選手の中ではあまり知られていない。声は可愛いがどんな人なんだろう。

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47 Phil Foden

生年月日:2000年5月28日(20歳)
身長:171cm
国籍:イングランド

イングランドの未来。シティの未来。9歳の時からシティ一筋で間違いなくアカデミーの最高傑作。ここ数シーズンで出場機会を着実に増やし、その才能を遺憾なく発揮している。2列目であればどこでもプレー可能であり、ペップの元では利き足サイドの左で起用されることが多い。ドリブラーというわけではないが、巧みなボールタッチで相手DFをかわしチャンスメイク。ボールを持てば必ず何かしてくれるという期待感がある。最近では、決定力も上がってきており点も取れる選手へと絶賛成長中。それでいてハードワークを厭わない。ペップに「これまで指導してきた中で最も才能溢れる選手の1人」「ダイヤモンド」と言わしめたそんな彼のアイドルは、シティのレジェンドダビド・シルバだ。これまでの10年間シティの中盤を支えてきたアイドルの後を引き継ぎ、次の10年シティを担って行くのはフォーデンに違いない。数年後に世界のトップスターに成長している姿が待ち遠しい。
なお、フォーデンはガールフレンド(おそらく結婚はしてない?)との間に2歳の子供がいるが、昨年のイングランド代表合宿中にホテルに女性を連れ込み代表から追放されたという経験も持ち合わせている。

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21 Ferran Torres

生年月日:2000年2月29日(20歳)
身長:184cm
国籍:スペイン

昨年バレンシアで大ブレイクを果たしたスペインの新星。6歳からバレンシアカンテラに所属し、2017年トップチームデビュー。そして、昨季スタメンの座を勝ち取り公式戦44試合に出場。今後のバレンシアを担って行く存在と思われていたが、クラブ内部の問題もあり退団を決意。レアル・マドリードバルセロナなど複数のビッグクラブからの関心が寄せられていた彼が最終的に選んだのがマンチェスターシティだった。スピードとテクニックを兼ね備えたサイドアタッカーで、右サイドを主戦場とする。スペースがあればスピードに乗った仕掛けで突破を図り、厳しく寄せられた時でも非常に冷静にプレーができる。スペイン人では珍しい純粋なサイドアタッカーであり(アダマという爆弾は例外)、スペインサッカー界で将来を嘱望されている。ペップの元ではすでに最前線や左サイドでも起用されており、よりスケールの大きな選手に成長するため着実に経験を積んでいる。フォーデンと共に将来シティを引っ張る選手になってほしい、そんな父親的目線で今後も見守っていきたい。
20歳にしてすでに個人のオフィシャルサイトやオリジナルロゴを保有している。

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10 Sergio Agüero

生年月日:1988年6月2日(32歳)
身長:173cm
国籍:アルゼンチン

プレミアリーグを代表する生粋のストライカー。マンチェスターシティの選手としてクラブ歴代最多得点を更新し続けるアグエロは、昨季のアストン・ヴィラ戦で通算12度目のハットトリックを記録し、アラン・シアラーが持つハットトリックの歴代最多記録、そしてティエリ・アンリが持つ外国人最多得点記録の2つを塗り替えた。相手との駆け引きが非常に巧く、いつどこに動き出せばゴールを奪えるのかを熟知している。特段スピードがあるわけではないが、一瞬の動きだしで決定機を作り出してしまう。シュート精度も高く、左右どちらの足でも頭でも難なく仕留められる。また、ゴールのバリエーションも多彩でワンタッチシュート、ドリブルからのミドルなど、どこからでもゴールを奪える。173cmと小柄ながら、プレミアの屈強なCBたちにも当たり負けしない強靭なフィジカルも彼の強み。ペップ就任以降は、低い位置まで下りてボールを受けに行く動きも多くなり、得点以外のプレーでも存在感を発揮。流石に最近では稼働率が悪くなって来ており、キャリアの下降期に向かっているのは否めないが、世界が認めるゴールハンターはまだまだ得点を取り続けるだろう。
最近はゲーマーとしても活躍しており、FIFAでは自身に点を取らせようと強引なプレーが目立つ。またFall Guysではラストプレーでダイビングヘッドを叩き込み雄叫びを上げる。が、基本的にプレイングスキルは低い。

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9 Gabriel Jesus

生年月日:1997年4月3日(23歳)
身長:175cm
国籍:ブラジル

比較対象がアグエロなのがかわいそうという点には同情するが、それを抜きにしてももう少し頑張ってほしいシティのストライカー。点取り屋でありながら、最前線で動き回りながらボールを積極的に引き出すプレーも得意とする非常に器用なFW。南米選手らしい独特のリズムを持ち、高い技術とスピードを兼ね備える。いわゆる現代的FWとして、若くしてセレソンの9番を背負う。シティでは、これまで166試合で72ゴール31アシストと素晴らしい結果を残しているが、なぜか物足りなく感じてしまう。アグエロという怪物を見てきたからなのだろうか。いずれにせよ、シティのエースとして爆発し、「新たなストライカーの獲得は必要ない」と言わせんばかりの活躍に大いに期待したい。ファンの期待値は高いぞ、頑張れ!
彼もまた、ゴールを決めた際には女手一つで育ててくれた母に捧げる電話パフォーマンスを必ずする。

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【プレミアリーグ】鬼門アンフィールド攻略の全て

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プレミアリーグ第23節 vsリバプール

マンチェスターシティ 4-1 リバプール
得点者:ギュンドアン(49分、73分)、スターリング(76分)、フォーデン(83分)/サラー(63分)

期待を裏切らない質の高いゲーム。前半37分スターリングがPK獲得もギュンドアンがアメフトと勘違いしボールはゴールの上へ。スコアレスで迎えた後半立ち上がり、スターリングがサイドからの仕掛けでフォーデンにラストパス。シュートはアリソンに弾かれるもこぼれ球をギュンドアンが押し込みシティ先制。しかし63分、ルベンが浮き玉の処理を誤り、サラーにチャンス。ルベンの手が触れると見事なダイブでPK獲得。これをサラーが決め試合は振り出しに。シティはジェズスを投入し得点を奪いに行く。すると直後に「足が冷えていた」というアリソンが痛恨のキックミスでフォーデンにチャンスボールをギフト。2人を交わし中へのクロス。最後はまたしてもギュンドアンが合わせ勝ち越しに成功。その3分後にもアリソンが今度はベルナルドにギフト。中でフリーになっていたスターリングが頭で合わせ3点目。仕上げはフォーデンのスーパーゴール。シティが鬼門のアンフィールドで4点を奪い完勝した。一方リバプールはホーム3連敗。

Line Up

まず、両チームのスタメンからおさらいしよう。お互いに基本のシステムは4-3-3。リバプールはCBの相次ぐ怪我によりこの試合は中盤本職のファビーニョヘンダーソンがCBに。中盤はワイナルドゥムの両脇にチアゴとジョーンズ、前線はおなじみの3枚というメンバーで臨む。一方シティは、センターライン5枚はいつも通りで、SBにはカンセロとジンチェンコを選択。そして前線はトップにジェズスではなくフォーデンを置き、右マフレズ左スターリングの並びでゲームに入った。

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両者のハイレベルなビルドアップ

近年においてのプレミア頂上決戦と言っていい2チームの対戦というだけあってやはり試合の質が非常に高い。中でも、前線からのプレスをどのように掻い潜っていくのかというビルドアップの局面は見応え抜群だった。シティのボール保持時、リバプールはフィルミーノがアンカーのコースを背中で消した上で両WGがCBへプレスをかけるいつものやり方で圧力をかける。対するシティは両SBの非対称な位置どりでそのプレスを回避しようと試みる。右SBのカンセロはロドリの横にポジションをとり、フィルミーノとマネのギャップに顔を出すことでCBからのパスコースを確保する。マネがカンセロを意識し絞り気味になると今度はベルナルドがカンセロの本来のポジションに移動しサイドでフリーな状況を作る。ベルナルドのマーカーであるジョーンズはついて行きすぎると中央のスペースを開けることになるので大胆に出ることはできない。右サイドでは、このポジションチェンジによりリバプールのファーストラインを突破していく。左サイドではジンチェンコの立ち位置が興味深かった。これまでのシティであれば一方のSBが中央でプレーするときはもう一方のSBはCBの横でサポートし3バックを形成していた。だが、リバプールは前線3枚でプレスをかけてくること、またサラーが外切りでCBにプレスをかけてくるやり方を意識してジンチェンコはあえてサイドに開いたままプレーすることが多かった。ルベンから距離を取ったサイドにポジションを取ることでサラーに「SBとCBを見る」という2つの仕事をさせない狙いも見て取れた。

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今度は、リバプールのボール保持時を見て行こう。リバプールはシティのようにポジションチェンジは行わず、SBが幅を取り、中盤3枚がビルドアップに関わる形だ。それに対しシティは、フォーデンがワイナルドゥムを監視しながらCBへプレス、フォーデンが行けない局面ではスターリングとマフレズがSBのパスコースを消しながらCBへプレスをかけ中央に誘い込み、中盤で奪い切るというリバプールのやり方に近い形で守備をスタートさせた。何度かCBからの縦パスを引っ掛けて奪うシーンもあったが、基本的にはアリソンのフィードや、中盤を経由されてフリーなSBを使われるシーンが目立った。マフレズが置き去りにされた状態でロバートソンにフリーでボールが渡るとすぐさまベルナルドがスペースをカバーし、相手に気持ちよく前進させなかったことはこの試合の重要なポイントだった。

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ペップの脳内解析

前半を終えスコアレス、HTでペップが何を思ったのか。これは後半立ち上がりからのプレーにすぐさま表れた。前半見ていて感じた人も多いかもしれないが、シティの前線からの守備はあまりうまく行っていなかった。先ほども述べたように、両WGのCBへのプレッシャーは、中盤を経由することで比較的容易に回避されていた。リバプールのSBにスペースを与え続けることがシティにとって良くないことは誰もがわかっている。そこでペップは修正を加える。CBへのプレスをフォーデンとベルナルドの2人に任せ、両WGはSBをマークする。さらにCBへのプレス時にはワイナルドゥムを消しながら寄せることで、ギュンドアンとロドリも自分のマークが明確になる。これにより、SB含めた中盤のラインで数的同数を作り出すことができ、相手のビルドアップにストレスを与えた。メンバーを変えずにプレスのかけ方や個々のタスクを変えることで先手を取りに行ったペップの判断が結果的に後半主導権を握る重要なカギとなった。ある程度このような展開を予想していたのか、試合中に微調整したのかはわからないが、この戦術変更によって試合を有利に進められたことは間違いない。ペップ流石の一言。

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連動性とハードワーク

この日も守備陣の安定は健在だった。ルベンは失点に繋がるミスを犯したものの、それ以外の局面ではホンモノであることを十分に証明した。危険なところは前に出て潰し、背後へのボールに対しても適切な準備をして凌ぎ続けた。ストーンズも攻守においてミスらしいミスはなくとにかく安定していた。だが、最近のシティの安定した守備において最も大きな要因は、チーム全員の連動性とハードワークだ。特に相手にボールを持たれる状況であってもほとんど崩れないのが今季のシティの強さだ。ボールを奪いにいくという姿勢は常にありながらも、奪えない状況で決して焦らず3ラインをコンパクトにして守る。誰かがアクションを起こせばそれに全員が連動性、連続性を持って適切な判断をとる。ボールを奪いに行くフェーズ、そうでないフェーズどちらでも非常にソリッドなチームになっている。また、シティの弱点と言われたカウンターも今季は与えさえしない。ボールを奪われた後の切り替えが鋭く、ボールをスペースへ逃がさない。仮にかけた網を抜けられたとしても帰陣がこれまたとんでもなく早く、相手が攻めようとした時には既にブロックが形成できてしまっている。リバプール相手にもカウンターアタックをさせないだけの連動性とハードワークを兼ね備えた今の堅いシティを崩せるチームがいるだろうか。

PHIL FODEN

宝の中の宝。こんな表現でも全く言い過ぎではない。世界トップレベルのこの一戦の中でも一際輝ける20歳はおそらく彼くらいだろう。体格や身体能力には決して恵まれているとは言えない小柄な彼は、フィジカルコンタクトの多いプレミアリーグでも力負けせず、ボールを持てば2人3人といとも簡単に抜き去ってしまう。おまけにシュート精度、威力ともに素晴らしい。今日の1ゴール1アシストは共にその才能が遺憾なく発揮された。特にゴールシーンは誰もが驚くようなスーパーなプレーだった。フィル・フォーデンは間違いなく未来のトッププレーヤーだ。

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深刻なPKキッカー問題

そんなシティにも深刻な問題が存在する。それが「PKが決まらない」問題だ。昨季からアグエロ、ジェズス、ギュンドアン、デブライネ、スターリングと多くの選手が努めて来たが、誰が蹴っても外す。CLやビッグマッチなど、重要な試合でPKを獲得することが多いシティにとってこれはかなりの致命傷だ。今季はプレミアワーストタイの3本を外し、リバプール戦に限って言えば直近4本中3本も外すというなんとも悲惨な数字だ。バロテッリやヤヤといったPK職人が恋しくなるような状況。そんな中ペップは試合後「エデルソンに蹴らせることをもう一度考える」と発言しており、これがジョークかどうかはわからないが、次節以降エデルソンが蹴りに来る姿を見れる可能性は低くないのかもしれない。この深刻な問題を解決するのはGKなのだろうか。

アンフィールドで見事な戦いぶりを見せたシティ。これが18年ぶりの勝利ということで、もちろん私がシティを見始めて以降初勝利だ。こんなに冷静に試合の振り返りをしているが実際は泣けるほど嬉しい。リバプール相手にどこまでやれるか注目だったが終わってみれば4ゴールを奪い完勝。これでリーグ戦10連勝。強い、強い、強い。次節はまたも難敵スパーズ。前期に完敗した憎い相手だ。だが今のシティなら自信を持って戦える。このまま優勝まで突っ走れ。

 

CmonCity

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【マンチェスターシティ 】いざ決戦へ

こんにちは、オサムです。
毎回この対戦の時には、タオル片手に緊張の汗を拭いながら、祈って観戦しております。

 

今日は「決戦」の日。シティにとって最も難しいスタジアムで最も難しい相手との対戦。それがアンフィールドでのリバプール戦だ。どれくらい難しいかをわかってもらうデータがこれ。

 

過去40年間で1勝

 

これが全て。しかもこの1勝は2003年の勝利であって、いわゆるシティのビッグクラブ化が始まった2008年以降は1度も勝てていない。「今年は勝てる」、「今のシティの調子だと勝てる」と思った試合でもアンフィールドでは悉く打ち負かされてきた。だからこそシティにとってこの一戦は単なる試合ではなく、挑戦なのだ。だが、個人的には今回の対戦は近年で最も勝機が見える戦いに思える。

①「世界一の圧」がない

アンフィールドでの試合が最もやりにくい理由の一つに、サポーターの存在がある。試合前の「You'll never walk alone」の大合唱で圧倒的ホームの雰囲気を作り出し、試合が始まれば狂気的な圧力を感じる。画面越しにでもあのアンフィールドの雰囲気の恐ろしさは感じ取れる。だが、今回の対戦はその圧力は存在しない「静かなアンフィールド」での対戦だ。シティにとってはリバプールのどの選手の不在よりも嬉しい要素かもしれない。


②攻守に不安を残すリバプール

今のリバプールは、昨季では考えられなかったような得点力不足に悩まされている。あの最強トリオの調子は今ひとつ上がらない。また、絶対的存在のファンダイクの離脱によってセットプレーでの脅威も半減。守備陣では、とにかく怪我人が相次ぎ、ファンダイクとマティプはシーズンアウト、ジョーゴメスも長期離脱中で、ファビーニョやアリソンも明日出られるかは不透明だ。今冬シャルケから加入した若手CBカバクをこのビッグマッチでいきなり起用する可能性も十分にある。それだけ台所事情が苦しいリバプール


③シティの充実ぶり

今季途中からペップ5年目にして最も盤石な戦いぶりを見せているシティ。それも「爆発力」ではなく「安定感」が抜群に高い。アグエロ、デブライネというタレントが不在の中でも、チームとしての完成度が高く、攻守において連動性を持ってプレーできている。また、個々のコンディションも良い。ルベンとストーンズは連戦の中でも安定感をもたらし、ギュンドアン、ベルナルド、カンセロは今チームに欠かせない存在だ。大崩れすることは考えづらい今のシティ、リバプール相手にも盤石な戦いを見せられるか。

サポーターの後押しなき不安定なリバプールに対し、絶好調シティが戦いを挑む明日のゲーム。構図的にはチャレンジャー有利という見方もできるが、決戦の地はアンフィールド。ここでの戦いは、これまでの調子やチームの順位は関係ない。今回勝機は十分にある。負けない戦い方ではなく、勝ちに行く姿勢を見せてくれ。非常に重要な一戦は1:30k.o.です。

CmonCity

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【プレミアリーグ】魅力的な3CBの共演

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プレミアリーグ第22節 vsバーンリー

マンチェスターシティ 2-0 バーンリー
得点者:ジェズス(3分)、スターリング(38分)

絶好調シティは開始3分、中盤2列目から飛び出してきたベルナルドが見事なターンからシュート。これはGKポープに弾かれたがこぼれをジェズスが押し込み幸先よく先制。その後も相手のブロックを押し下げながらシティが攻め込み展開は続き、38分にポケットを攻略したギュンドアンのクロスにスターリングが合わせ2点目を奪取。バーンリーは、最前線のバーンズとウッドという大型FWが共に欠場したこともあり肉弾戦を挑むことはできず。さらにシティの攻撃によりSHもかなり自陣深くに押し下げられチャンスらしいチャンスは作れず。結果、試合を通してシュート2本、枠内シュートは0本と完敗。シティはストレスなく勝利を手にした。

4-3-3から3-1-3-3へ

シティのSBの組み合わせは非常に理にかなっている。両SBの特性に合わせてチームの陣形を自由自在に変えていく。この日はRSBにカンセロ、LSBにラポルテのペアで試合に臨んだ。メンバーを見た時におおよその配置は予想できたが、まさにその予想通りボール保持時にはカンセロがIHのベルナルドとギュンドアンの列まで上がり、最終ラインが右にスライドし3バックを形成する形に。基本的にはこの3-1-3-3(3-1-5-1)のシステムに変形し、後ろの4枚でボールを確実に前進させていった。最終ライン両脇のラポルテとストーンズから質の高いパスを供給できるだけでなく、CBを3枚並べているため守備での安定感が一層高まる点もこの配置の利点だ。その狙い通り、ラポルテは試合を通して攻撃の起点となるパスを何本も通し、先制点のシーンも攻撃の出発点は彼の正確なフィードからだった。また、ベルナルド、ギュンドアン、カンセロの3人は相手の中盤の間で顔を出し、4枚を中央に密集させる。そうすることで後方から比較的容易にWGのスターリングとマフレズへのパスルートを確保できていた。今日の2ゴールは共に両サイドからハーフスペースを攻略した形であり、これもペップの狙い通りだったのかもしれない。

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ストッパーとしての成長

ロドリは着実に成長を遂げている。足元の技術には以前から定評があるが、今季は課題である守備面での貢献も大きい。当然チームとして守備が機能しており、彼の負担が大きすぎないという側面もあるが、ボールを刈り取る力やカバーリングの意識は良くなっている。データを見ても、今季はフェルナンジーニョよりもデュエル勝率やボール奪取率は高い。また、191cmの長身を生かし空中戦でもチームの助けになっている。中盤でスペースを与えてしまうと、どうしても彼の鈍さが露呈してしまうがそういったシーンも作らせていない。来週の2連戦はプレミア屈指の“速い”チームとの対戦。ここでロドリの真価が問われるだろう。

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WGの課題

一方、WGの2人には不満もあった。シティではワイドでボールを受けた際、多くの場面で味方が内側でアクションを起こす。ボールを持つ選手は、味方を使うか自分で仕掛けるかを判断する。今日のスターリングとマフレズはこの判断が良くないように思えた。バーンリーの守備は4-4-1-1で、幅をとった両WGにボールが入るとSBとSHが対応する。5バックとは違い、SBがつり出された4枚の穴は大きく、ここに走り込む選手に良い形でボールが入ると決定機が生まれやすい。だが、両者は基本的には「ボールプレーヤー」であり、特にスターリングは味方を使うプレーを得意とはしない。今日の試合ではまさにこの内側を走るベルナルドやギュンドアンを使えば崩せそうなシーンでもカットインを選択することが多かった。単独突破が武器であることは間違いないが、判断を間違えればその仕掛けはチームの攻撃の停滞を生み出す。2点目のシーン以外でも、出せばチャンスになるシーンは少なくなかった。

リーグ戦9連勝で首位をがっちりキープしたシティ。次節は鬼門アンフィールドでのリバプール戦だ。ここで勝利できれば上位陣をさらに引き離すことができる。だが、相手はシティにとって最大の難敵だ。直近のパフォーマンスは明らかにシティの方が充実しているが、おそらくこの試合にはあまり関係ない。とにかく勝利にこだわれ!

CmonCity

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【プレミアリーグ】恐ろしいほど手堅い勝利

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プレミアリーグ第21節 vsシェフィールド・ユナイテッド

マンチェスターシティ 1-0 シェフィールド・ユナイテッド
得点者:ジェズス(9分)

「シティにとって嫌な相手」という印象は今日も変わらなかった。9分にフェランの粘りからジェズスが押し込み幸先よく先制したシティだが、その後はボールは保持するもチャンスを作れない展開が続いた。1点差では何が起こるかわからない。そんな状況で終盤を迎えたシティだったが今日も守備は集中していた。相手にカウンターのチャンスすら与えず、終盤の放り込みにも非常に落ち着いて対応し、無失点に抑えた。一方のシェフィールド・ユナイテッドは、7~8割ボールを持たれることは想定内で、奪ったボールをカウンターやセットプレーに繋げ、いかに少ないチャンスを生かすかがポイントだった。だが、シティの切り替えの早さと連動したプレッシャーの前にチャンスを作ることができず終戦。ウノゼロでシティが勝ち点3を獲得した。

5-3-2に苦戦するワケ

To play Sheffield is always uncomfortable for us. That system, the 5-3-2 is difficult to attack.

シティはシェフィールド・ユナイテッドにいつも手こずる。その理由は5-3-2の守備にある。シェフィールド・ユナイテッドの基本は3CBの前に3枚の中盤を置き、さらに前線に2トップが並ぶ形だ。ペナルティエリアの幅に8人が入り大外をWBが担当する。これだけ中央に人が密集するとどうしてもボールの動きは外回りになる。その上、5-3のブロックはスライドが早くギャップやライン間でのプレーをさせてもらえない。シティは、ボールをテンポよく動かしながらハーフスペースと呼ばれるところや、中盤とDFのライン間に侵入して崩す形を得意とするが、そのような危険なエリアにスペースを与えないだけのコンパクトさと陣形を持っているのが今日の相手。また、前線にはスピードのある2枚を置いているため、シティとしても失うリスクのある縦パスを積極的に狙うことはしない。これによって、毎回難しい試合を強いられる。

価値あるフェランの1プレー

今日のような試合では、「個の打開」が一つポイントになる。特に、中央を使えず外回りの展開を強いられる中では、サイドの突破がチャンスのきっかけとなる。シェフィールド・ユナイテッドは、外から狭いエリアにシティが侵入してきたところを奪ってカウンター、というのが狙いだった。だからこそ、狭い中央を使わずに大外だけで得点に結びつけた序盤のフェランの1プレーは非常に価値あるプレーだった。ルベンからの裏へのパスに抜け出したフェランは、一度は体勢を崩すもすぐに起き上がり、相手DF2枚を見事にかわしジェズスのゴールをお膳立て。結果的にこのゴールが決勝点となって勝ち切れたが、仮に均衡状態が続いていたらおそらくシティに嫌な雰囲気が流れていただろう。前がかりになりカウンター一本でやられるなんてことはよくあることだ。そういった展開にさせなかったフェランの粘りにはアシスト以上の重みがあった。

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堅守を支える若きリーダー

CBにとって相方が誰であるかは重要な要素だ。これまでストーンズと鉄壁の守備を築いてきたルベンの今日の相方は、怪我から復帰したラポルテ。その上、普段とは違い右でのプレーということもあり見える景色や勝手は多少なりとも変わってくる。ということもあり、このコンビの出来には注目していたが、「ルベンはCBとしてレベルが高い」と改めて感じる結果となった。第一にシュートブロックが達人級だ。彼が滑ると必ずシュートが身体に当たる。当然だが相手が彼に向かって蹴っているのではない。シュートコースに入る感覚が優れているのだ。また、ポジショニングと予測も非常に的確で、シティの弱点であるカウンター対応もバッチリ。前線でボールを保持している間にもロスト時のカウンターに備えてより良いポジショニングを意識している。対人でも無駄なファールはせず遅らせるべきところ、スライディングタックルに行くべきところの判断を決して間違わない。オタメンディの一か八かの賭けタックルを見てきたため尚更対応の丁寧さが際立つ(オタメンディは大好きです)。彼の人間性や生まれ持った素質だけでなく、プレーの丁寧さや緻密さもDFリーダーそのものだ。今日も相手に与えたチャンスらしいチャンスは終盤のフレックのミドルのみ。今のルベンは決して突破できない大きな壁として君臨している。

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1点差では何が起こるかわからないが、1点あれば勝てる。これが今のシティだ。切り替えの早さとハードワークという基本を軸に、連動した守備でチャンスすら与えない。これでリーグ戦8連勝、公式戦は12連勝と絶好調。また、1月の9試合を全勝したことで、イングランドサッカー133年の歴史で初となる1ヶ月で9勝を記録した。次のバーンリー戦を終えるといよいよ強豪との連戦が始まるが、心配は全くしていない。まだまだ勝ち続けるぞ!

 

CmonCity

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